日本の財政赤字の現状
日本は財政赤字です。財政赤字とは国の収入である税収よりもお金を使っている状態です。足りない分は国債を発行してまかなっています。近年は景気対策や高齢化対策などを含めた社会保障費が増えています。
国際比較してみると日本はG7の中で最下位です。G7とは先進7カ国であるアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、日本のことです。
下の図は財政収支の推移をG7と比較したものと、純債務残高の推移をG7と比較したものです。純債務残高とは、政府の総債務残高から政府が保有する金融資産を差し引いたものです。つまり国の借金です。


これを見て分かるように、日本はダントツで財政赤字です。特に純債務残高は他国を大きく引き離し日本の独壇場です。
財政赤字の問題点
財務省は財政赤字の問題点を以下のようにしています。
- 政策の自由度の減少
- 政府部門の資金調達の増大
- 世代間の不公平拡大
- 財政への信認低下による金利上昇(国債価格の下落)
- 政策の自由度の減少とは
- 政府部門の資金調達の増大とは
- 世代間の不公平拡大とは
- 財政への信認低下による金利上昇(国債価格の下落)とは
政策の自由度の減少とは、国の歳出項目に占める国債費の割合が増えることで、他の政策に予算を回せず圧迫させてしまうため、政策の自由度が減少することをいいます。
下の図は歳出項目の構成比の推移です。一番下の国債費が年々増加していることが分かり、その影響で他の政策を圧迫してしまうことが分かると思います。

また、今の超高齢化社会では社会保障関係費を減らすのは容易ではなく、地方交付税等も予め法律で決められているので削減は難しいです。よって、国債費、地方交付税等、社会保障関係費で歳出の7割以上を占めているので、財政赤字を改善することが難しいのです。
政府部門の資金調達の増大とは、政府が資金調達のため国債を大量に発行することで市中の金利が上昇し、それにより民間の資金調達を阻害していまうというものです。
つまり、金利が上昇してしまうとお金を借りた際に返す利子が増えるので、お金を借りて設備投資をしたり、住宅購入をあきらめるなどの経済活動および消費行動に影響が出てしまうということです。ちなみにこれを『クラウディングアウト(押し出し効果)』と呼ぶそうです。
世代間の不公平拡大とは、今の世代が借金をしているのに、後から生まれてくる次世代がその借金を返さなければいけないのは不公平だとうものです。
財政への信認低下による金利上昇(国債価格の下落)とは、もしこのまま日本の財政赤字が改善されなければ、国債が償還されなくなる可能性を国際市場が懸念することで、国債が売られ金利が上昇してしまうかも知れないということです。
金利が上昇するとその分債務残高も増えるため、より財政を圧迫させてしまう恐れがあります。また、そもそも日本国債の信頼度が落ちているので、国債を買ってもらえず、資金調達に苦労する可能性もあります。
日本国債の大半は国内銀行が保有しているため、国債価格下落の影響で損失を被り、最悪銀行が破綻するというった事態になってしまう恐れもあります。そうなると金融危機に発展し経済が大混乱に陥ってしまいます。欧州債務危機時のギリシャの様なことになってしまうということです。
おしまい。