日本の経常収支
まず『経常収支』とはなにかを知る必要があります。経常収支とは、貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支の以上4つ合計からな出されます。1つずつ見ていきましょう。
- 貿易収支とは
- サービス収支とは
- 経常移転収支とは
- 所得収支とは
国の輸入と輸出の差額。日本は貿易黒字が続いていましたが、震災を受けて燃料の輸入増加により貿易赤字に転落しています。
モノ以外のサービスや経済取引の収支。日本人が海外旅行などで使った金額から、訪日外国人が日本で使った金額などを差し引いた金額。証券会社を通して外国株を売買する時にかかる手数料などはこれ。また、知的財産権等の使用料。日本のサービス収支は赤字。
日本政府や日本の民間企業が途上国などに行う援助や寄付など。災害援助や無償支援などの資金援助のことで日本は赤字。
日本人が海外で稼ぐお金や、投資で得た利子や配当と、外国人が日本で稼いだお金や投資で得た利子や配当の差額。日本は長年、貿易黒字だったので海外にたくさんの資産を持っています。それが所得収支を黒字にしています。
これらを合計したものが経常収支です。そして下の図がその経常収支の推移で、現在の日本の経常収支は黒字です。(2013年現在)

この経常収支を見ると、震災以降の経常収支黒字額が減っていまる事が分かります。輸出の伸び悩みや燃料の輸入量が増えた事が要因です。
経常収支を私達の家計に当てはめると、貿易収支とサービス収支は給料から消費を引いて残ったお金で、所得収支は銀行預金の利子や、株などで得た利益で、経常移転収支は募金や寄付またはお年玉だと言え、これらを合わせて黒字であるなら貯金や新たな資産形成にお金をまわせて、赤字であるなら貯金を切り崩しながらの節約生活になる、という感じでしょうか。
日本の対外純資産
日本は海外に多くの資産を持っています。それを『対外純資産』と言いますが、なんと約296兆円もあります。これは1991年以降、22年連続で世界一だそうです。これは、今まで日本が経常収支の黒字を外国に投資してきたからです。下の図が対外資産負債残高の内訳です。

- 直接投資とは
- 証券投資とは
- 金融派生商品とは
- その他投資とは
- 外貨準備とは
日本企業が海外に持っている工場やビル、子会社などです。
日本の銀行や年金基金などの金融機関が海外の株式および国債などの債券投資です。
デリバティブと呼ばれる、先物取引、オプション取引、スワップ取引など…。正直僕はこの金融派生商品(デリバティブ)というモノをちゃんと理解出来ていません。なんとなく金融商品の価格変動を取引していると理解していますが、今ひとつピンと来ません。
日本の銀行と外国の銀行との貸し借りなど。
日本政府が持っている直ちに利用可能な外貨。
この対外純資産というのは、経常収支が一定期間の統計であったのに対して、ある一時点での純資産額なので、その時点での株価や為替の影響によって増えたり減ったりします。
これからの日本の国際収支
今後日本はなんとか経常収支の黒字を維持したい所です。ただ、今後も貿易赤字は続くと予想され、黒字維持は結構大変かもしれません。
しかし!日本には追い風があります。2020年の東京オリンピック・パラリンピックです。オリンピック開催決定によって、これまで以上に世界から注目が集まり、観光客も増えるでしょう。
政府は、2013年の年間訪日外国人観光客数が1000万人を突破したと発表しました。特にアジア・東南アジアからの旅行者が多いそうです。これを2020年までに2000万人、さらに2030年までに3000万人を目標にしています。下の図が訪日外国人の推移です。

日本に訪れる外国人が増えることで、サービス収支が黒字化するかも知れませんし、それを目指して政府は取り組んでいるんだと思います。日本には魅力的な伝統文化があるのに、国際的にはまだ外国人の訪問者数が少ないです。逆を言えばそれだけ伸び代があると思います。文字通り『観光立国』になれれば経常収支の黒字もより維持しやすくなるでしょう。
おしまい。