日本経済を学ぶ 20日目 日本の貿易について


貿易収支の推移

日本は長年に渡って貿易黒字国でしたが、リーマンショック後のアメリカ経済の低迷によって急激な円高となり、その黒字額は減少しました。

さらに2011年の東日本大震災を受けて国内の原子力発電所がすべて稼働停止し、それを補うために火力発電所がフル稼働しています。そのため火力発電に必要な燃料である天然ガスや石油石炭の輸入量が増え、現在は貿易赤字になっています。

下の図を見るとそれがよく分かります。輸出の線が上にありましたが、2011年を境に輸入の線とクロスして以後、その状態が続いています。個人的な感想ですが、この図を見て分かるように、リーマンショック後の輸出輸入の線が仲良く寄り添うように下がっているのが、夫婦を表しているかのようでなんか仲良しって感じですね。

貿易収支の推移
(参考元:財務省「貿易統計」)

政府は今後、原発を重要なベースロード電源として、安全が確認されたものから再稼働させるという方針を出しています。その上で、再生可能エネルギーの比率を2030年までに20%以上を目指すとしています。

貿易赤字になった原因は燃料輸入だけではありません。世界的に景気が低迷していることがむしろ主因です。日本の最大の輸出国である中国の景気減速が大きく影響しているのです。

ただ、依然として中国は高い成長率を公表しています。この数値にどこまでの信憑性があるかは意見の別れるところですが、中国の景気は日本だけでなく世界にも影響します。

また、アベノミクスにより円安となりましたが、期待されていた程の円安効果はなかったようです。これは、日本企業が円高に耐えるため生産拠点を海外へと移していたからです。今までは国内の工場で輸出向け製品を作っていましたが、それを海外へと移したことで、国内では以前のように輸出向け製品を作っていなかったということです。

というように、アメリカ経済の落ち込みにより、それが世界へと伝播し、日本もその影響を強く受けます。しかし、今アメリカ経済は順調に回復へと向かっています。アメリカ経済が活発になりば日本も輸出を伸ばすことが出来るでしょう。

主な貿易相手国

日本の主な貿易相手国は以下の順位です(2012年)。
輸出入の総額と輸出額、輸入額のそれぞれ上位10カ国とその割合です。

貿易相手国のランニング画像
(参考元:財務省「貿易統計」)

輸出入の構成比画像
(参考元:財務省「貿易統計」)

これを見て分かるように中国が日本の最大の貿易相手国です。次いでアメリカ、韓国と続きます。また、地域別に見るとアジアとの貿易の割合が多いことが分かります。中東の輸入割合が高いのは原油を輸入しているからです。地域別の輸出先の割合はアジア、北米、西欧という順になります。

このように、日本は貿易相手国の半数以上の割合がアジアの国々だということです。これらアジアの国々は現在急成長しており、今後も成長が見込まれます。アジアの国々の経済が活発になればそれだけ日本も輸出が伸びることでしょう。

また、アフリカの国々も急速に成長しています。経済系のニュースなどでは『最後のフロンティア』と題し特集を組んだりするのを見たことがあるかと思います。しかし、日本企業は少し出遅れているようで、現在は中国や韓国企業のアフリカ進出が目立つそうです。

そして何と言ってもアメリカ!割合に占める比重はそれほど大きくはありませんが、世界をけん引する輸入大国アメリカの経済が回復し順調に成長していくことは、日本にとって大変重要なことです。

また、自動車大国であるアメリカの景気が良ければ、日本の主要産業である自動車が売れます。2013年はトヨタが過去最高益を更新したり、スバル(富士重工)もアメリカでの戦略が成功して大きく売上を伸ばしました。自動車産業が潤うとその波及効果が大きいため日本全体が潤います。こうやって今後少しずつ日本が元気になるといいですね。

おしまい。


日本経済を学ぶ
アクセス数: 7349

スポンサードリンク

関連記事

日本経済を学ぶ 23日目 日本の財政赤字について

日本経済を学ぶ 23日目 日本の財政赤字について


日本経済を学ぶ 22日目 財政の役割について

日本経済を学ぶ 22日目 財政の役割について


日本経済を学ぶ 21日目 日本の国際収支について

日本経済を学ぶ 21日目 日本の国際収支について


日本経済を学ぶ 19日目 金融とはなにか?

日本経済を学ぶ 19日目 金融とはなにか?


日本経済を学ぶ 18日目 日本のエネルギー問題について

日本経済を学ぶ 18日目 日本のエネルギー問題について