日本経済を学ぶ 17日目 日本の食料問題について


日本の食料消費

日本人1人あたりの1日のカロリー消費量を知っていますか?
だいたい2400キロカロリーだそうです。これには食べ残した分も含まれているので、実際にはもう少し少ないと言われています。

この消費カロリーは高度経済成長期から緩やかに上昇し、90年代をピークに近年では減少しています。その要因としては、高齢化や健康志向の食事への関心の高まりが考えられます。コンビニ弁当なども摂取カロリーを明記しており、消費者が分かるようにしている程です。

僕自身も体を壊したことがニートになったきっかけなので、健康には高い意識があります。ただ僕はニートであるがゆえに、カロリー消費が極端に低いと思われるので、あまりカロリーを摂取する必要がなく、2400キロカロリーも摂っていないと思います。笑

そんな僕も中学時代はバスケ部に所属していたので、毎日ご飯をラーメンのうつわで一杯以上食べていました。今からでは考えられません。

というように、やはり日本人の主食であるお米の消費量は、食料品消費量全体の内訳で約2割強を占めています。これが高度経済成長期には4割を占めていたので、昔は今よりお米を食べていたのですね。とは言え、お米を食べる量が減ったからといって、パンを食べる量が増えたかといえばそこまでではなく、むしろお肉を食べる量が増えています。よく『食の欧米化』と言いますが、まさにそれが現れているのでしょう。

日本の農業生産

日本の農業は生産性が低いと言われています。その理由の1つが小規模経営です。
アメリカなどは広大な農地で大型の機械を導入し、水やりも天候に合わせてシステム管理するなど効率化がなされています。

それに変わり日本ではそこまで大きな農地ではない事と、小規模経営がため莫大な費用をかけて機械を導入してもその投資を回収できないし、そもそもその費用がない、といった理由で効率化がなされませんでした。

もう1つの理由として、農家の高齢化が挙げられます。高齢化により以前のように生産することが出来なくなったり、後継者がいないことで農業を辞めてしまうからです。

特に、高度経済成長期以後、若者は都会へと出ていき、新しく農業をする若者はほとんどいません。今後、規制緩和によって農業に企業が参入出来るようにしたりなど、大規模経営が出来る土壌を作る必要があります。

日本の食料自給率

いつからだか『食料自給率』という言葉を聞くようになりました。
自国で消費される食料をどれだけ自国でまかなえるか。というものです。

僕がこの言葉を聞くようになったのは多分高校生くらいの時だったと思います。その時はただ単純に「それはやばい!」とは思ったものの、「今後も足りない分は輸入すればいいじゃん♪」と危機感のカケラすら感じていませんでした。

食料自給率の推移画像
(参考元:農林水産省「食料自給表(平成24年度)」)

そしてこの食料自給率には2種類の算出方法があり、『カロリーベース総合食料自給率』『生産額ベース総合食料自給率』があります。カロリーベースの食料自給率は39%で、生産額ベースの食料自給率は66%です。

生産額ベースの食料自給率とは、国内で作られた食料すべての金額を、国内で消費された食料すべての金額で割って出されるものです。つまり、私達が毎日買う食品の中には当然輸入品が含まれているので、極端に言うと、今買った食品の中にどれだけ国産のモノがあるかを日本すべてに置き換えて示したものです。

カロリーベースの食料自給率とは、輸入品と食べ残しといった廃棄される分もすべて含むなかに、どれだけ国産のモノがあるかをしましたものです。こちらも極端に言うと、今食べた食事の中に占める国産の食品の割合です。

この2つの数値にギャップがある理由は、野菜や魚などの比較的カロリーあたりの価格が低い品目の自給率が、肉などのカロリーあたりの価格が高い品目より高い事と、カロリーあたりの価格が低い飼料用穀物のほとんどが輸入されているためです。

日本の農業の未来

現在、TPP(環太平洋経済連携協定)の協議が行われていますが、これが日本の経済、そして農業に大きく影響します。

このTPPというのは、貿易の際にかかる関税の”例外なく撤廃”を原則とした協定です。その中で日本は聖域として、「麦、コメ、乳製品、甘味資源作物(砂糖やサトウキビ)、牛肉・豚肉」重要5項目を協定の対象外にしようと交渉をしています。

しかし、交渉は難航しておりこの聖域をどこまで守れるかが今後注目されます。日本は「この聖域を守れないなら脱退も辞さない」と言っていますが、実際にどうなるかはわかりません。

事実、TPPに加盟しないことは国際競争力の低下を意味します。これは特に自動車業界などの工業製品に言えることです。逆に農業側にとっては安い海外製品が国内に輸入されることで、日本の農業は大打撃を受けてしまう、と農協が反対しています。

正直、立場によってメリット・デメリットが違うため、TPPに加盟することが本当の意味での『国益』になるかは分かりませんが、長期的な視点で『国益』とは何か…ということを考えた上で、自分達がそれに対応し変わっていく必要があるのだと僕は思います。

実際に、日本企業が海外で大規模な農地を経営し、日本への安定供給を可能にするため進出するなど、すでに行動を起こしている企業もあります。今後日本がどうなっていくのか、注目ですね。

おしまい。


日本経済を学ぶ
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