日本経済を学ぶ 13日目 社会保障の問題点


社会保障の全体像

社会保障とは、社会保険公的扶助社会福祉公衆衛生の総称であり、これらに分類されます。

  • 社会保険とは、医療保険や年金、雇用保険などです。
  • 公的扶助とは、生活保護のことで金銭的に困窮しているひとに支給されます。
  • 社会福祉とは、貧困者や母子家庭、高齢者や障害者といった社会的な障害のある人を支援する制度です。
  • 公衆衛生とは、伝染病などの予防や対処といった保健事業のことです。
社会保障費の推移画像
(参考元:総務省統計局「平成21年度社会保障給付費」)

上の図は社会保障給付費の推移をグラフ化したものです。
2009年は全体で約1000兆円程ですが、その内の約7割は高齢者関係給付費であることが分かります。現在の日本は高齢化が深刻なので、年金や医療保険などの高齢者関係の給付額が多くの割合を占めるのは当然であり、今後もますます増えていくことが予測されます。

下の図はその内訳の推移や割合を表しています。

高齢者関係給付費の内訳の推移画像
高齢者関係給付費の割合
(参考元:総務省統計局「平成21年度高齢者関係給付費」)

これを見ると高齢者関係給付費の中で一番割合が多いのは年金であり、その増加スピードも他を超えています。近年は老人福祉サービス給付費が増加していますが、やはり年金と比べてしまうと圧倒的に差があります。また、高齢者医療給付費は意外にも安定しているのが分かります。2014年4月には消費税が8%になり、2015年10月には10%になります。消費税増税で増えた税収は社会保障に充てられます。ただ、現在の社会保障制度には少なからず問題があるようです。

年金制度について

年金制度とは、高齢者が安心て暮らせるように現役世代が保険料を納てみんなで高齢者を支えようというもので、以下の3種類に分けられます。

  • 国民年金 日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人。
  • 厚生年金 厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する20歳未満を含めて69歳までの人。
  • 共済年金 国家公務員や地方公務員、私立学校教職員など。

少し分かりづらいですが、国民年金のことを基礎年金とも言い、厚生年金や共済年金加入者は同時にこの基礎年金に加入しているため、厚生年金や共済年金には基礎年金の保険料も含まれています。そしてこれらの年金加入者は以下の3種類に分類されます。

  • 第1号被保険者 農業従事者や自営業者、学生やフリーター、無職などの国民年金のみを納めている人。
  • 第2号被保険者 企業に努めているサラリーマンや公務員で厚生年金や共済年金を納めている人。
  • 第3号被保険者 第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の人。パート勤めでも年間130万円以下でればこの第3号被保険者になります。またこの第3号被保険者の保険料は第2号被保険者が納めています。

年金の問題点

年金の問題点として、少子高齢化などによる現役世代の減少があげれれます。
年金制度が始まった当初の昭和35年は、65歳以上の人口が全人口の約6%程で、現役世代約9人で1人の高齢者を支える状態でした。しかし、少子化に加え、医療の進歩によって平均寿命が伸びたことで高齢化が進み、現在では現役世代約3人で1人の高齢者を支えなければいけない状態です。

これは明らかに昔より今のほうが辛い状態であり、今後ますます現役世代の負担は増えていきます。そのため、今の現役世代は「自分が老後になる頃には年金制度自体が破綻していまい年金を受け取れないのでは?」という不安も出ています。

実際に60歳だった年金支給開始年齢が引き上げられていますし、今後も引き上げられます。ただ、『GPIF=年金積立金管理運用独立行政法人』という年金を株や債券などで運用して利益をあげる団体もあるので、今後は一人一人の納める保険金と支給年齢と上記の運用益とでバランスをとり、年金制度を維持していくのでしょう。

おしまい。


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